2006年11月10日 (金)

命令放送の意味するもの

電波監理審議会の答申に従って、 総務相が北朝鮮による拉致問題をNHK短波ラジオの国際放送で重点的に扱うことを命じる「命令書」 をNHK橋本会長に渡したのが10日午前中のこと。同じ日にこんなニュースが出た。

菅総務相は10日の閣議後会見で、 来年の通常国会に提出する放送法改正案に盛り込むNHK受信料の不払い問題への対策として、 受信料の支払いが滞っている人に対する延滞金制度や、「見ていない」 とウソをつくなどして不正に支払いを免れた人に対する割増金制度を検討していることを明らかにした。 (毎日新聞) - 11月10日10時49分更新

あまりに分かりやすい展開。放送命令に対し異議を唱えないことと、 受信料の割増、延滞金請求(実質的な罰則規定だね)をバーターしたと思われても仕方あるまいし、実際そうなのだろう。

元々NHKをはじめとする報道機関は拉致議連や家族会ベッタリの御用報道をそれこそ洪水のように流し続けてきた。 今更短波ラジオの報道内容で拉致問題を重点的に扱ったところでその影響は無視できるほど小さいものだろう。

今回の命令騒動はむしろシンボリックな意味合いが大きいと思う。 統治権力が直接的かつ明示的な形式で個別具体的な報道内容に手を突っ込むという前例をつくってしまうのだからね。 とうとう一線を越えてしまった。そもそも民主主義社会において命令されてする報道など報道とはいえまい。

具体的な運用に関しても不透明な部分が多過ぎる。審議会(ちなみに委員は総務相によって任命される。 つまり官僚の代弁者)は答申で「編集の自由に配慮した制度の運用を行う」という条件をつけたが何をどうすれば〝配慮〟 になるのかまったく基準を示していない。これでは「配慮したよ」と言えばそれまでだ。
また命令がどのように行使されたか、つまりどの放送のどの部分が「重点的に扱われた」 に当たるのかを検証するすべが全く示されていないことも問題だろう。

民放連のお偉いさんや新聞労連などは一応反対声明を出しているのだが、 当のNHK橋本会長は「法律にあることだから…」とかアホみたいなことをのたまっている。 おそらくNHKの台所事情はもはやなりふりかまっていられないほど苦しいのだろう。月刊誌「」 に連載中の元NHK経理担当者の手記を読めばNHK職員がいかに高禄を食んできたか、 不払いデータがいかに捏造されたものであるかが良く分かる。

だからこそ、である。政府ベッタリの報道姿勢を改め、 視聴者の信頼を取り戻すため一から出直す姿勢を示すべきではなかったか。 最近のNスペやクローズアップ現代なんかではその萌芽が感じられていただけに今回のヘタレっぷりがより際立って見えてしまう。

橋本会長は今年6月に提出された「デジタル時代のNHK懇談会」 の報告書を受けてこう語っている (ちなみにこの報告書では受信料義務化や罰則規定に反対。予算の国会承認などの問題点も改めるよう要請している)。

今後は、この報告書の提言一つひとつの重みをしっかりと踏まえ、 NHKの経営や事業計画の検討に生かし、新生NHKに向けた改革の実現に努めてまいります。

どうやら〝新生NHK〟とは「国策放送会社」のことのようですね。

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2006年10月12日 (木)

シンゾーです。強硬には超強硬で立ち向かうとです。

政府は11日、 北朝鮮への制裁強化に伴い、北朝鮮工作員が日本国内でテロを引き起こす可能性が高まると判断して、 国内の治安警戒レベルを強化した。
警察庁は各都道府県警に対し、危機管理と即応態勢の強化を求めるとともに、同日、同庁次長を本部長とする「警備対策本部」を設置した。
防衛庁・自衛隊も各部隊に緊急事態に即応できるよう指示した。

ええかっこしいで厳しい独自制裁に踏み切ったのだから、当然対策は考えているんだろうと思っていたが…。 この程度では片手落ちの批判は免れまい。日本のインテリジェンスの水準からいえば、どこまでのことができるのか正直疑問に思う。 都道府県警レベルではそれこそ「そんなん急に言われても、どないせっちゅーねん」という感じではないか。昨年のパキスタン人誤認逮捕→風評被害のようなケースも考えられるし、 一般レベルでは在日への私刑も起こりかねない。

ついでに散々不安を煽って、 引っ張り放題の日本版愛国法制定ですか?

思えばミサイル発射実験の際に安倍チャンが主張していた敵基地先制攻撃論も片手落ち。 反撃でテポドンを撃たれたら現時点で対抗手段はない(MD構想の欠陥は各所で指摘されている通り)のだから。日本海側の原発群はもちろん、 東京だって実質丸裸です。
額に銃を突きつけられているのに「テメーコノヤロ。武器捨てろ」って言ってるようなもん。

追加制裁発表時の安倍チャンの高揚感にあふれた表情といったら…。「戦時下の国家元首」気取り。バカじゃねーの。 そんなに闘いたきゃオマエ一人でやってこい。

以下追記

米国務省は11日、 日本が決定した北朝鮮に対する追加制裁措置を支持する報道官談話を発表した。談話は、 北朝鮮からの輸入全面禁止などを柱とする追加制裁措置について、「北朝鮮が大量破壊兵器計画を続ければ、政治的・ 経済的孤立を深めるだけだという明確なシグナルとなる」と高く評価した。(読売新聞)

なあんだ。やっぱり〝独自〟 制裁なんて口だけのパフォーマンス。「こんなん考えましたけど、大丈夫すかね」ってお伺い立ててたんだ。

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2006年9月22日 (金)

麻原裁判雑感

旧聞に属する話ではあるが麻原裁判について。
予想していた結果、そして予想していた報道ではあったが少しがっかりした。もちろん死刑確定が残念だというのではない。 この異議申立て棄却によってまたひとつ「法の支配」という近代法の基本理念から遠ざかってしまったんかなあ…とかぼんやりとした思いからだ。

95年3月20日の地下鉄サリン事件以降、 この国ではある事件を許しがたい犯罪と認識する閾値が下がってきたのではないか。このときを分岐点として社会のリスク許容度というか、 本来共同体が内包していた寛容さが猛烈な勢いで失われていったように思う。
わたしは当時ド田舎の高校生だったので東京の雰囲気はわからないが「ニュースワーカー」 の美浦さんは当時の空気をこう振り返る。

 警察はなりふり構わず、と言っても過言ではない捜査を進めた。 オウム信者で幹部クラスとみれば、ありとあらゆる法令を駆使して逮捕した。それほどの幹部でなくても、 カッターナイフ1本を所持していただけで銃刀法違反の現行犯とみなすことまでやった。教団幹部が一人、また一人と逮捕され、 とうとう松本智津夫が逮捕され、テロ実行部隊のリーダーとみなされた逃亡中の幹部が逮捕されて、 何となくほっとしたのはわたしだけではなかったと思う。それは、もう「見えない脅威」におびえ続けなくてもいいのだ、 という安堵だったと思う。

野田敬生さんあたりが以前から指摘されていることだが、 この事件によって行政改革の槍玉に上げられていた公安調査庁が息を吹き返した。
同時に盗聴法、表現・メディア規制、住基ネット、監視カメラ、生活安全条例、「青少年保護」を謳ったネット規制、有事法制など (こうしてみるとホントにたくさんの法律ができたんだなあ…) 市民の行動やメディアの活動に対する監視と統制を可能にする条件面の整備も着々と進められている。
どっかその辺でワーワー騒いだ人々を除けば、基本的にわたしたちの社会はこの流れを支持し続けてきた。

なぜだろう。

「見えない脅威」を梃子にしたのは海の向こうも一緒だ。アメリカでは9・ 11の後に愛国者法が成立。市民の自由が大幅に制限され。政府機関による市民への秘密裏の盗聴、令状無しの身柄拘束、 拷問を禁止していない第三国での取調べなどが行われた。でも5年たった今イラク戦争を支持しない米国人の割合は6割にまで増え、 英国でもブレアは退陣に追い込まれた。明らかにバックラッシュが起きている。

けれど日本ではその気配は見えない。それどころか今度は容疑段階で令状なしにDNAサンプルを採取し、 データベース組み込もうという動きがあるらしい。監視カメラのときと同様、 秋田の事件でも有効だったとかDNAプロファイル礼賛のプロパガンダも始まった。

何度も繰り返されてきたことかもしれないが、 なぜこの国では揺り戻しが起きないのか。なぜ自らの自治権を放棄し、生活のあらゆる部分に権力の介入を積極的に求め続けるのか。 同調圧力が強いとか、想像力が働かないからとかそんなことじゃもうひとつ納得がいかない。かといってバカだから、 じゃあまりに陳腐すぎるしなあ 。

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2006年8月19日 (土)

外交無策のツケ

16日早朝、 携帯に通信社からの速報メールが届いた。例のカニ漁船の拿捕事件である。
その後ちょくちょく「漁船 拿捕」でブログ検索をかけエントリに目を通しているのだが大方はこんなのばっかだった。

これは決して偶発的な事件ではなく、 わが国のこれまでの宥和(ゆうわ)的な対外政策のもたらした結果であるといえる。プーチン大統領からすると、 漁民を少々痛めつけても、日本政府はむろん、国民の反発もそうはないと思っているのであろう。その半面、 日本漁民の漁業制限によって魚介類の対日輸出が増大するという期待感もあろう。
日本政府は、これまでの宥和的な姿勢を改め、強い姿勢でこの「異常事態」に対処してほしい!!! もっと強い姿勢で外交してくれ!!! 日本よ!!ロシアになめられているぞ!

ちなみにこの記事では冒頭で「 わが国の固有の領土である北海道の歯舞諸島に属し、根室半島の納沙布岬から三・七キロしか離れていない貝殻島周辺で~」と触れている。 北方領土問題に対してこの程度の理解がほとんどなのだろうか。 テレビなどの報道は全くフォローしていないがメディアもこういう事件が起きたからこそ56年宣言以降の歴史の流れや、 鈴木宗男失脚後の外交的空白などについて取り上げるべきと思う。

むろん冷静かつ読み応えのある意見も多く見られた。「S
ophisticated AA Life」氏は「日本と日本人主張の正当性」と題されたエントリで今回の事件について冷静に分析した後、こう続ける。

日本では、どんな背景があろうと 「殺した人間は常に悪く、殺された人間は常に被害者」という考え方があるのかもしれません。これは神道、仏教などの思想である 「死んだら平等」みたいな考え方に基づいているのでしょう。そういった発想は、僕も割と好きですが、外交の場合は、 もっとシステマティックに考えて、実行していかないといけないと思っています。
日本の世論は、常に感情的であり、北朝鮮問題なども含め、あまり良くないと常に感じています。

むろん本来はこうあるべきでしょう。 でも政治家が先頭切っちゃってんだもんなあ…。北朝鮮ミサイル発射実験に対する、 安保理への制裁決議案提出→米国に梯子外されてあれ~~の顛末を見ても思うのだけれど、 何か日本ではパブリックディプロマシーという言葉だけが独り歩きしてる気がする。後先考えずとりあえずキレてみて人気取りって、 余りにアホ過ぎやしないだろうか。小泉の5年間でどれだけ外交リソースを失ったのか想像もつかない。 カードを自ら捨てまくってどうやってゲームをするというのだろう。

ジョージィのおとなりさんたち」 氏は今回の政府の対応について「子どもの使い」と手厳しく批判した上でこう述べる。

それにしても、 無くなって始めて実感した事だが、地元出身議員が武部幹事長に代る前の鈴木宗男氏の功績(対ロシア関係) は確かに有ったと多くの道民は感じていることだろう。武部氏はそれを継承せず、失わせた結果となっている。
それでも北方四島(ロシア)と北海道の関係は決して悪くは無い。
政府のウソ(愚民政策)に惑わされず、しっかりした事実関係が報告されるのを待ちたい。

前述の「Sophisticated~」 氏も書いておられるが、今だからこそ鈴木宗男とか佐藤優の話を聞きたい。どこかのメディアには出ているのかも。 少し調べてみようと思う。

道民の方々の冷静な判断にも期待したいものだ。災い転じて福となすこともできるかもしれないのだから。

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2006年7月 9日 (日)

偽装撤退雑感

イラクに展開していた陸自に撤退命令が出されて2週間余り経つ。
一連の報道やブログを見ていていくつか思うところがあった。

まずは報道管制問題(
イラク取材: 防衛庁側の意向で取材が中止)について。 防衛記者クラブと防衛庁が 〝口頭〟で交わした合意を直前になって一方的に破棄、加えて報道の自粛を要請したという例の事件だ。
(戦地のイラクではなく)クウェートの基地における取材を中止するのだから、兵士の安全云々は詭弁だろう。 額賀長官としては単純に大きな扱いをしてほしくなかったんだろうと思う。そう思うのもさもありなん。 気になるのは一方的取材キャンセルに対するメディア側の批判が余りに少なく感じられることだ。

04年3月の「
イラク取材に関する申し合わせ」 が交わされたときもそうだった。「安全確保などに悪影響を与えるおそれのある情報」の扱いについて 「防衛庁または現地部隊による公表または同意を得てから報道」する旨を約束したのだが、「安全確保に悪影響を与える情報」 かどうかの判断を防衛庁側に委ねてしまった。
言い訳がましく報道の自由、知る権利などお題目を掲げたが何の実効性もないこの案を簡単に(かどうかは知らないが)受け入れてしまう。 「ネタくれるとことは仲良くやろうよ」の記者クラブ思考なのだろうがどこまでナメられれば気が済むというのか。 記者がナメられるということは、彼らに情報アクセス、権力監視を委任している、我々一人一人がナメられることにほかならないのに。

また2年半にわたるイラク派兵の総括がなされた形跡がほとんどないように思える。どれだけの税金を使って、その結果何がつくられて、 具体的にどれだけのイラク市民が恩恵にあずかって、それによりいかほどの〝国益〟が日本にもたらされたというのか。 それがサッパリわかんねーのだ。

例えばイラク入りした兵士たちには通常の報酬とは別に危険手当が支払われている。 第一陣が帰国した際の国会質問に対する
答弁書を見るとその合計額は8億円。 人数で割ると約145万円となる。期間は3か月くらいだったろうか。いいボーナスだ。 対して工事のため雇用したイラク人に払われた賃金は延べ1300人に対し6900㌦…って一人5~6㌦かよ。復興支援の総予算の内、 兵士の人件費がどのくらいだったのか。ちょっとググった限りではわからなかったのだけれど、もっといい使い道があったようにも思える。

最後に、これが一番報道されていないように思うのだが、空自の活動についてだ。航空自衛隊はいまだイラクに残り 「
薔薇、 また陽だまりの猫」さんや「こしぞう本舗 東京総本店」 さんによればその活動範囲はさらに拡大しイラク全土に及ぶのだという。

兵站」という言葉がある。 今空自のしていることは兵站そのものである。それでも政府は戦闘ではないと言い続ける。なぜそれに疑問を持たないのか。 不思議でしょうがない。また三国志とか戦争シミュレーションゲームをしたことのある人には常識だろう。「後方に回ってまず補給部隊を叩け」 である。輸送機なんかが撃ち落されなか心配だ。

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2006年5月30日 (火)

死んだ女の子

  あけてちょうだい たたくのはあたし
  あっちの戸 こっちの戸 あたしはたたくの
  こわがらないで 見えないあたしを
  だれにも見えない死んだ女の子を

  あたしは死んだの あのヒロシマで
  あのヒロシマで 夏の朝に
  あのときも七つ いまでも七つ
  死んだ子はけっして大きくならないの
 

  炎がのんだの あたしの髪の毛を
  あたしの両手を あたしのひとみを
  あたしのからだはひとつかみの灰
  冷たい風にさらわれていった灰

  あなたにお願い だけどあたしは
  パンもお米もなにもいらないの
  あまいあめ玉もしゃぶれないの
  紙きれみたいにもえたあたしは
 

  戸をたたくのはあたしあたし
  平和な世界に どうかしてちょうだい
  炎が子どもを焼かないように
  あまいあめ玉がしゃぶれるように
  炎が子どもを焼かないように
  あまいあめ玉がしゃぶれるように

(アーティスト元ちとせ 作詞ナジム・ヒクメット 作曲外山雄三)

BSで米ABCを見た。 イラク駐留の米海兵隊が民家でイラク市民を虐殺した疑惑についてのニュースが流れていた。
西側のメディアでイラクにおける駐留米軍の殺人行為が報じられたのはほとんど初めてではないか。

 

Img_903381_35529580_0

この写真があったブログからリンクが貼られていた海外のサイト (http://isahaqi.chris-floyd.com/)     では事件の詳細を伝えるビデオがアップされている。またイギリスの市民団体「Iraq    Body Count (http://www.iraqbodycount.org/)     」によればイラク民間人の死者は4万人だ。 とにかく大量に人が死んでいる。    

以前は、左派の自称現実主義者たちが唱える「ネオコンの暴走に歯止めをかける意味での9条改憲」(有体にいえば軍の存在を明記し、 集団的自衛権の行使は国際機関の決定に委ねる)に賛成できると考えていた。〝護憲〟の持つネガティブなイメージもあったろうし、 これほどマッチョな保守的言説がはびこる世の中ではそれがぎりぎりの妥協点になりうるのではと思ったからだ。

でもこの写真のような現実を前に、とてもそんな書生論を振りかざす気にはなれなくなる。もうわかっている。 9条を変えれば名実ともに米軍と一体化の方向へ向かう。戦闘地域への派遣が認められるということは、当たり前だが戦闘をするということだ。 無辜の市民を大量に殺す行為に加担するということだ。

国民投票法、共謀罪、教育基本法条文変更の3点セットが目指すところは明快。戦争のできる国だ。公権力が自らへの批判を許さない国だ。 これまでどう考えてもまかり通らなかったことが堂々と行われる時代がすぐそこまで迫っている。

徴兵なんかする必要はない。格差を作るとはどういうことか。アメリカを見ればわかる。好き好んで軍に入る者などそうはいない。 奨学金が欲しいから、仕事がないから地方の貧しい若者が兵士になっている。イラク入りしている予備役の兵士たちなどほとんどがそうだろう。 日本でいえば? そう「ニート」だ。メディアは今必死に彼らを悪者に仕立て上げている。あとは人差し指を上げてこう言えばいい。「I want you」。退路を断たれた若者たちは入隊するだろう。

もしくは「青少年教育促進法」(姑息な官僚はもっといい名前を考えるか)なんかを作ればいい。「労働は義務!  働かねぇヤツぁ軍隊で精神を鍛え直す!」というわけだ。何かといえば国家を呼び出すようになった現代の日本人だ。「オレがやってやるよ」 と言われれば喜んで自らの子どもを差し出すだろう。

そんな国が「普通の」国といえるのか。平和ボケの何が悪い。

 

 

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2006年3月28日 (火)

司法権力暴走中

オウムの麻原被告の公判打ち切りが決定した。以下引用。

地下鉄、松本両サリンや坂本堤弁護士一家殺害など13事件で殺人罪などに問われ、 1審で死刑判決を受けたオウム真理教(アーレフに改称)の松本智津夫(麻原彰晃)被告(51)について、東京高裁(須田賢(まさる) 裁判長)は27日、被告の訴訟能力を認めたうえで、控訴を棄却する決定を出した。 最高裁の統計がある78年以降、1審で死刑とされた被告の控訴審が、棄却決定されるのは初めて。事件の首謀者とされる被告に対し、 高裁で一度も公判を開かずに死刑判決が確定するという異例の事態となる見通しとなった。(毎日新聞) - 3月27日21時31分更新

わたしは法律に関しては門外漢だが、以前のエントリでも書いたように今回の件でより注目すべきは、 弁護士の訴訟戦術がどうとかくだらないことではなく、訴訟能力の有無を判断する精神鑑定の正当性だったのではと感じている。

鑑定医師を担当判事が任意に指名でき、しかもその鑑定は密室での1対1。 この結果が公式なものとしてオーソライズされるというのはやはり不当だろう。

指名した医師が、判事にとって都合のいい鑑定結果を出す〝御用〟医師でない保障がどこにある?  しかも今回の件では、この須田とかいう男は、拘置所の被告人に会いに行くという禁じ手まで使って、 「弁護側が独自に出した鑑定は認められない、こっちの鑑定のほうが正しいもんね~」と言っているわけだ。

いわゆる責任能力の有無についてはどういったプロセスで認定するのかわからないが、 普通に考えればオープンな環境での鑑定、それも複数の医師の見解から総合的に判断すべきものだと思うんだけど。

テレビは見てないが、昨日あたりは西澤某のニュースで霞んでしまったのだろうか。社説は各社 「妥当な判断」との見解がほとんどでがっくし。続いてブログ検索でざっと見たところこちらは総じて「ざまあみろ」的な言説が…。 中にはこんなものまであった。

これ以上、真実が詳らかになる事もなさそうだから、被害者・ 遺族に区切りをつけてもらうためにもとっとと吊っちゃえ。税金のムダだ。

こういった人たちが裁判員に選ばれでもしたらと思うと空恐ろしくなる。 裁判員制度は冤罪を大量生産するのではと危惧してしまう。 というかこういった人たちは自分の身に降りかかる場合のことに考えが及ばないのだろうか。

今回の強引な控訴棄却は裁判員制度導入を間近に控えた裁判所が「迅速化」 という強迫観念に駆られた結果、麻原裁判をシンボリックに利用しようとしたのでは、と邪推したくもなる。もしそうだとすれば、 その思惑は見事に成功しようとしている。

 

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2006年3月18日 (土)

WBCとナショナリズム

20060318000018131_1 さてWBCである。 おそらく広告にカネをかけなかったであろうことを考えれば予想外の大盛り上がり。そして二度の日韓戦を終えた後は恒例? のバッシングが始まった。
スポナビからリンクしていた室井昌也さんの「
コリアな気持ち」で例の横断幕についてのエントリがあった。

だが、選手以外の国民がスポーツを観る目線は決して成熟していない。きょうもスタンドに 「??? ???(竹島はわが領土)」というボードを持った観客が何ヶ所かで見られた。スポーツと政治を区別できないとは情けない。 選手が高めた韓国の地位を、観客が下げている。

まあ予想できた事態ではあった。 これまで本格的な国際試合がなかった野球では免疫がなかっただろうが、サッカーなんかを見ているものにとっては当たり前の光景である。 韓国は02年のW杯、準決勝のドイツ戦では少し悪ノリし過ぎたのかハーケンクロイツ(鉤十字)を横断幕に描いていた。 これはやり過ぎとしても、人種差別の類はしょっちゅうある。国際試合、しかもこれだけ注目される大会であれば、 政治とは不可分ではいられない。

残念に思うのは通常であれば、例えば選手とか、 影響力のあるメディアあたりがこういう間違ったナショナリズムの発露を戒めるものだけれど、 わたしが知る限りではそういった動きが見られなかった。むしろ煽るような言説が多かったのではないか。 以下朝鮮日報からの引用である。

「日本選手の立場まで考える必要はないと思います。もし、 日本選手のことを思って行動していたとしたら、わざとそうやったように見えたかもしれませんね。 うちらが勝ったからうちらのお祝いをしたまでで、日本選手たちのことまで考えていられません」 

大極旗をマウンドに掲げたソ・ジェウン投手の言葉だ。普通は形の上だけでも相手を敬うもの。 それが影響力のあるスポーツ選手に当然課せられた責任だと思うんだけどな…。ちなみに朝鮮日報にはこんなほめ殺しみたいな記事もあった。 このネタを引っ張ったと思われるNFL.comの記事の結論は 「noting that a couple of big wins doesn't suddenly vault Korean baseball to the top of the Eastern food chain」でしごく冷静な見方をしているのに…。

都合のいいところだけ切り取って、 とりあえず盛り上げたろっていう大人気ない書き方はどっかの島国のマスコミと一緒。見ていて何か居心地が悪い。

20060317000035128_3 大人気ないといえば、 韓国メディアから文字通り袋叩きに合っているのがイチロー選手だ。 人一倍プライドの高いイチロー選手だけに負けた瞬間のピー言葉はともかくとして、記者会見での「不愉快ですね」はどうだったのか。 「向こう30年は日本に勝てないと思わせたい」という挑発的な発言も曲解されて仕方ないコメントだったと思う。 どういう背景でこういうコメントが出るのか良く分からないが、これでいわゆる嫌韓厨には英雄視されるのかな…。 そんなことを思いながらニュースサイトを見ていたら、ふとこんなソウル市民の声が紹介されていた。

会議室でテレビを視聴したチョン・ジンソクさん(30/ベンチャー企業職員)は、 「李鍾範選手が安打を放ったとき、社員全員が手をたたいて大騒ぎした」とし、「特に、イチローを『イプチリョ』(軽口の治療という意) と呼んだり、『30年間泣いてもらう』と皮肉ったりして、喜んだ」と述べた。

なんかどっちもどっちだな…。

  

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2006年3月15日 (水)

裁判員制度と少年犯罪厳罰化

Catch_main_1 09年の春までに裁判員制度が始まることになっている。最高裁は13億円、 日弁連も3億円の広報予算を組んで周知に努めているようだが認知度はきわめて低い。 その制度変更がもたらすであろう影響の大きさを考えればちょっと異常な事態という気がする。

裁判員制度については本山の法務省最高裁の特設サイトを見ると分かりやすいし、 制度上の問題点については高野善通さんのブログにおいてクリティカルに指摘されている。 ど素人のわたしにも非常に理解しやすかった。

なぜこんなことを書いているかというと、今日こんなニュースがあったから。以下引用。

最高裁の司法研修所は15日、 市民と裁判官を対象に実施した量刑意識に関するアンケート結果を発表、両者に大きな隔たりがあることが明らかになった。(中略) 殺人事件を素材とし、39の量刑ポイントについて意見を聞いたところ、違いがはっきり分かれたのは少年事件。裁判官は「軽くする」 が90%を超え「重く」はゼロだったが、市民は約半数が「どちらでもない」を、25・4%もの人が「重く」を選択した。 将来の更生のため刑を軽くするなどの配慮がある少年法を前提とした「裁判官の常識」が通用しないことが浮き彫りになった。(共同通信) - 3月15日17時23分更新

これを見て椅子から転げ落ちそうになった。読み間違ったかと思って見直したくらいだ。
まず「軽くする」じゃなかった裁判官が全体の10%近くもいるということ。こいつらの氏名を公開してほしい。 でなければ公の場に出てどういう論理でそう思うのか語るべきだろう。 その裁判官により少年審判を受ける側にとってはたまったものではあるまい。

次に市民側。4人に一人が成人より刑を重くすべきだと考えているのだそうだ。 ここにこのアンケートについての報道があるがこれでは良く分からない。 どういう質問の仕方をしたのか。そしてその集計方法についても詳細に知りたいと思った。如何に扇情的な報道が氾濫する昨今とはいえ、 この結果はわたしにはにわかに信じられなかったからだ。

テクノラティで検索してみた。「大澤唱二の気まぐれ日記」 さんがこのトピックについて語っておられ、わが意を得た思いだった。(ちなみにこれが初トラックバック。ややテンパる)

刑を重くする前に、 犯罪を犯すにいたってしまった少年の心の問題を明らかにして、ケアをすることが重要ではないでしょうか。さらに、 子どもたちが心に問題を抱え込んでしまわないような、健全な社会を作っていくべきではないでしょうか。 子どもはどうしても親や大人からの影響を受けやすいですから、前回のエントリーでも書いたような、 毎年3万人以上の人が自殺するような病んだ社会をどうにかすることが、 少年犯罪を減らすことにもつながっているような気がします。

 

以前知り合いのオランダ人と日本の対外援助について話していたところ「お前の国は年間3万人が自殺してるんだろ。 内乱状態じゃないか。自分の国をまず何とかすべきだろう」と言われ、ぐうの音も出なかった。 自殺願望者はこの何倍いるのか想像もつかない。経済状態ももちろんあるのだろうが、 わたしは日本人の精神構造や家族や地域などの周辺環境が変化し、 以前より容易に自死への道を選びやすくなってしまったのではなどと勝手に思っている。

なんか昨日に続きまたブルーな気分だ。

 

 

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2006年3月 2日 (木)

司法権力暴走警報発令中

オリンピックにわたしも含めた世間の空気が浮かれた16日間が終わった。
昨日書いたようにトリノ五輪の平均視聴率は低かったのだけれど、 地上波の放送時間は過去最長。新聞各紙も読売をはじめそれなりの分量を割いていたように思う。

刑事被告人の訴訟能力

ところでこうしたビッグイベントが無ければもう少し扱いが大きくなったであろう出来事も、 この期間内にいくつか起こっている。そのなかでわたしが特に注目したのがオウム真理教・麻原彰晃被告の訴訟能力の有無をめぐる問題だ。

地下鉄、 松本両サリンなど13事件で殺人罪などに問われたオウム真理教の松本智津夫被告について、東京高裁の依頼を受けた精神科医は20日 「訴訟をする能力を失ってはいない」との精神鑑定結果を提出した。訴訟能力に疑問を持つ弁護団は、 拒否を続けていた控訴趣意書の提出を余儀なくされるとみられる。                  (毎日新聞) - 2月20日19時39分更新

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