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2006年3月 2日 (木)

司法権力暴走警報発令中

オリンピックにわたしも含めた世間の空気が浮かれた16日間が終わった。
昨日書いたようにトリノ五輪の平均視聴率は低かったのだけれど、 地上波の放送時間は過去最長。新聞各紙も読売をはじめそれなりの分量を割いていたように思う。

刑事被告人の訴訟能力

ところでこうしたビッグイベントが無ければもう少し扱いが大きくなったであろう出来事も、 この期間内にいくつか起こっている。そのなかでわたしが特に注目したのがオウム真理教・麻原彰晃被告の訴訟能力の有無をめぐる問題だ。

地下鉄、 松本両サリンなど13事件で殺人罪などに問われたオウム真理教の松本智津夫被告について、東京高裁の依頼を受けた精神科医は20日 「訴訟をする能力を失ってはいない」との精神鑑定結果を提出した。訴訟能力に疑問を持つ弁護団は、 拒否を続けていた控訴趣意書の提出を余儀なくされるとみられる。                  (毎日新聞) - 2月20日19時39分更新

麻原被告の公判は04年2月に一審で死刑判決が下り、 弁護側が控訴手続きを取った時点でストップしている。弁護団が麻原被告とコミュニケーションが取れない状態にあるため、 審理開始の前提となる控訴趣意書(一審判決のどこそこに不満があるという被告人の考え)の作成ができないというのだ。

弁護側は裏付けとして医師に鑑定を依頼。 この精神科医は麻原被告に訴訟能力は無いとの診断を下している。 もしこれが認められれば刑事訴訟法三一四条が適用され公判は停止→入院、治療開始となるわけだが、 高裁は自らが依頼した別の精神科医の判断を全面的に採用し弁護団の意見を退けたわけだ。

わたしは精神鑑定の結果がどうかというのは本質的な問題とは少し違う気がする。 宮崎勤裁判を参照すれば分かるが、精神障害か否かという点について明確な線引きはできない。鑑定人が違えば違う結果が出て当然なのだ。 今回重要なのは〝高裁は初めから結論ありき〟だったのではということだ。

裁判官が被告人と接見?

21日付の高知新聞の社説や東奥日報特集記事によれば、 高裁の裁判官が04年12月に拘置所の麻原被告と接見し「訴訟能力あり」との報告書をまとめた、とある。 刑事訴訟法をかじったことのある人ならここであれっ?と思うことだろう。

わたしが大学時代、試験前に必死で一夜漬けした記憶をたどれば、日本の刑事裁判は 「起訴状一本主義」を取っており、 裁判官による予断を廃するのが原則のはず。それが畏れ多くも東京高裁の須田賢裁判官殿は予断どころか、麻原に会って話をしたというのだ。

〝禁じ手〟を使ってまで麻原裁判を続けることに固執する裁判官のことだ。 上でリンクした東奥日報の記事でも暗に示しているが、依頼した精神科医に恣意的な鑑定結果を出させたのではと疑われても仕方ないはず。 だってその鑑定の現場に弁護人は立ち会うことすら許されていなかったのだから。

このままでは控訴は棄却され麻原の死刑判決が確定しかねないがマスメディアの反応は今イチ鈍い気がする。 麻原が死んで当然とかいう議論は公判を通じて判断すればいいことだ。 今回のような法手続きを蹂躙する行為がなぜ見過ごされるのか不思議でならない。

   

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