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2006年2月14日 (火)

スピルバーグ初?の色モノ

79m_2 トリノ五輪に合わせたわけでもあるまいがスピルバーグ監督の最新作「ミュンヘン」が公開中だ。ネタばれ無しの予告編を見て以来気になっていたが、何をおいてもということで強引に時間を作り鑑賞してきた。

非常に良くできた映画、というのが見終わっての最初の感想。実写の補完役に徹したCG(イェルサレム、ラストのNYCの描写は秀逸)、3時間弱の長尺と感じさせない編集(キングコングのeditorよ見習え)は見事。そして何より感心させられたのは主演のエリック・バナはもちろん、主だった出演俳優みんながみんな“オイシい”役を演じているように見えたことだ。

たいていの映画というのはいわば捨てキャラのような存在がいてご都合主義的に葬り去られ、これがスクリーンから緊張感を奪い去ってしまう。ところがミュンヘンはどうだ。説明ゼリフを極力廃し、個々のキャラクターを際立たせることに成功した脚本(アテネのsafe house でのパレスチナ過激派とのやりとりは爆笑)。そのスクリプトと俳優の演技を高次元で昇華させた演出はさすがで隅々にまで気を配っていてスキがない。超一流のスタッフの支えあってとはいえ巨匠の面目躍如といったところか。

まあスピルバーグが「ミュンヘン」を通じて何を訴えたかったとかいうことをくどくど書くこともあるまい。そういう大仰な解説は筑紫哲也あたりにやってもらおう。内容は一言でいうならド直球な反戦映画、「ハイそこのキミ!報復の連鎖は何も生みませんよ」ということである(とわたしは思う)。

(しつこいが)キングコングのようなやたらカネかけてまっせ的なごてごての虚飾アクションだったり、冗長なだけの歴史映画なんかが横行している最近のハリウッド映画にはない、素直にスクリーンに没入できる作品だった。オープニングがどの程度だったかわからないが毎度のこととはいえ興行と中身を両立させる手腕はさすがである。

ただ一箇所だけ現実に引き戻されたのがラスト近くのアヴナーと妻とのベッドシーン。シャンプーのCMじゃあるまいしあの汗はないだろう。あれじゃ即脱水症状だよ。官能シーンを撮り慣れていないからなのか、オブセッシブな状態を表現するにしてもちと違う気がしたのだった。

   

 

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