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2006年2月24日 (金)

これが人生 ~スルツカヤとウィルモッツ~

日本時間のけさ5時過ぎから始まった女子フィギュア・シングルのフリー。
周知の通り日本の荒川静香さんがオリンピックチャンピオンとなった。

2006022400000016maipspoview000 SPでトップだったサーシャ・ コーエン選手が尻もちをつくミス。思ったほど得点が伸びなかったことで、 直後の滑走だった荒川選手に心理的な余裕が生まれたことは間違いあるまい。
トリプル+トリプルのコンビネーションをトリプル+ダブルにした。ジャンプの途中に瞬時の判断でプログラムを変える。
きのうのエントリでも書いたがその集中力たるや… 。 メダルへの期待で浮つく周囲をしり目に当の本人が一番冷静だったのだ。
終盤の見せ場、イナバウアーからの連続ジャンプを決めると会場の雰囲気が一変した。 SPよりもさらにスケールアップしたような演技で見るものを圧倒。完ぺきな勝利だったと思う。

最終滑走のイリーナ・ スルツカヤ選手は緊張が抜け切らなかったのか、 SPのときのような切れが感じられなかった。何か演技を〝こなしている〟ような雰囲気。 本人にしか分からないような小さなミスが続いたためかどんどん余裕がなくなっているように見えた。 それが致命傷となったあの転倒につながったのかもしれない。

「普段のわたしには何でもないジャンプ。でもそれがスケート、それが人生なの」

0602bergi1_1 彼女の言葉を聞いた時、 ふと2002年W杯決勝トーナメント1回戦、ブラジル対ベルギー戦後のベルギー代表主将M.ウィルモッツのコメントを思い出した。
わたしは神戸で行われたこの試合を生で見ていた。前半ブラジルDFと競り合いながらヘディングシュートを決めたウィルモッツ。 本当にスペクタクルなゴールだった。しかしプッシングを取られ得点は取り消される。後半地力に優るブラジルが2点を奪って逃げ切ったが、 仮にベルギーの先制点が認められていればどう転んだか分からなかった。

実は試合後レフェリーがウィルモッツの元に歩み寄り、自らファウルの判定を誤審と認めたという。 それを受けたウィルモッツの言葉だ。

これが人生、これがフットボールだ。わたしは審判をいつも尊敬している。 だから彼の悪口を言うつもりはない

この試合を最後に代表を引退したウィルモッツをわたしは今でも尊敬してやまない。

そしてスルツカヤ選手。あらゆるタイトルを手にしながら結局オリンピックでは銀と銅に終わった。 キス&クライで得点を見た瞬間こそ両手でで顔を覆うシーンがあったが、後の会見ではブロンズメダルを手にしながら彼女は笑顔を浮かべて 「様々な色のメダルを取れて良かった」と語ったという。

女王の矜持…。わたしはスルツカヤ選手がますます好きになった。

    

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