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2006年2月26日 (日)

安藤美姫の得たもの

25日の早朝に行われたフィギュアスケートエキシビションをようやく見ることができた。

荒川静香選手はオリンピックチャンピオンとしての風格すら漂わせ、 会場の雰囲気を完全に支配していた。それにしても本当にリンク映えする女性だと思う。

驚愕させられたのはロシアのプルシェンコ選手。 バイオリンの生演奏に合わせての即興のスケーティングである。当然練習はしているのだろうがリズム、曲調に完璧にシンクロしていた。 ここまでくると単なる技術や表現力どうこうという次元ではない。スケート以外の素養も相当に高いものがあるのだろう。 とんでもないものを見せてもらった。

華やかなショーを見ながら気になったことがあった。 この2日間完全にメディアから消えている安藤美姫選手だ。

20060224_276_450 SPでは硬さからミスしたのかもしれない。 でもフリーは見ているこちらが切なくなるほど痛々しかった。4回転に失敗したあとの何か壊れてしまったかのような演技。 何せ荒川選手から50点以上引き離される大敗である。誤解を恐れずいえば彼女は醜態をさらした。

わたしは安藤選手は別に4回転にこだわる必要はないと思っていた。 メダルの可能性は消えたのだから開き直って気楽に滑れる? 果たしてそうだったろうか。 SP後のインタビューでの安藤選手は何か追い詰められたような引きつった笑顔でひどく頼りなく見えた。 少なくともプレッシャーから解き放たれた表情ではなかったと思う。

けれど周囲は彼女の代名詞である4回転を無言のうちに求める。 むろん安藤選手は誰よりそのことを知っている人だし、不安と緊張の中ですがるような気持ちがあったのかもしれない。 結局練習で1度しか成功しなかった技で分の悪い賭けに出ざるをえなかった。そしてその賭けに負けたとき、 彼女を辛うじて支えていたものが崩れてしまったのだと思う。

そもそも怪我もあって今季不調だった安藤選手が代表に選ばれたのは4年後を見据えた部分が大きかったはずだ (それとも単に世界における知名度?)。
代表選考のプロセスについて熟知しているわけではないが、 トリノでの上位進出だけを考えるならシーズン後半に印象的な活躍をした中野友加里選手あたりが代わりに選ばれていても異議を唱える人は少なかったと思うからだ。

そうであるなら少しでも順位を上げて、 彼女にとって満足のいくかたちで初の五輪を終えることが一番重要だったのではないか。

1回目の五輪はとにかく楽しめました。荒川(静香) さんが1回目と2回目では全然違うと言っていたので、(2回目を)ちょっと味わってみたいな。 (来季も同じ)「蝶々夫人」で、もっと自分らしいジャンプを跳びたい。 今日のように跳んで、 パーフェクトな演技を見せたいと思います。

フリー終了後の気丈なコメントを見て何か複雑な思いになった。 安藤選手が今回のオリンピックで得たものは何だったんだろう。それが失意だけだったとすれば余りに気の毒だし、 もしそうならバンクーバーに彼女はいないかもしれない。

彼女の魅力は野性味と躍動感にあふれる演技。 そして何より人を引き付ける磁力を持ったあの笑顔だ。そのスマイルを取り戻すためにも今はとにかくリラックスして体を休めて欲しい。 心からそう思った。

代表選考ポイントについてはここに詳しく載っていました。

   

 

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