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2006年2月28日 (火)

メダルはカネで買える?

大学時分西ヨーロッパを2か月ほど旅した際、 フランス入りする前にトリノで電車を下りたことがある。それまではユベントスのホームタウンというくらいしかイメージのなかったところ。 実際に歩いてみるとミラノやローマの華やかさはなかったが、小ぎれいで住みやすそうな街。アメリカでいうとシアトルみたいなイメージだった。

そのトリノで行われたオリンピックが終了した。テレビ視聴率は荒川静香選手が優勝した女子フィギュアこそ驚異の31. 8%(占有率67%)を記録したが、そのほかはおしなべて低調に推移した。原因はもちろんメダルひとつに終わった日本勢の不振だろう。 選手団長の平身低頭の会見があったがどうやら政治も動きそうなムードだ。

小坂文科相は28日午前の記者会見で、「(選手の練習施設が) 地元自治体とオリンピックの基金でまかなわれている現状では、徐々に閉鎖せざる得ない環境に追い込まれている。 国の力で選手を育成する環境が必要だ」と述べ、選手の練習施設を確保するための財政支援策などを検討する考えを明らかにした。

荒川選手が記者会見で語ったことでわたしも初めて知ったのだが、 日本各地でスケートリンクが次々と閉鎖に追い込まれているのだそうだ。スピードスケートではいまだに所属先が決まらない選手もいるとか。 練習どころの話ではないだろう。

ここでふと疑問に思った。
「日本復活プロジェクト」はどうなったんだろう。

文科省のサイトに詳しいが、 96年のアトランタでの不振(メダル獲得率1.66%)を受けて提唱された「スポーツ振興計画」に基づき、文科省が予算を獲得。 ここから助成金をJOC、各競技団体に配分するシステムができあがった。アテネ五輪ではこれが早速功を奏し、メダル獲得率は3.98% と急激に上昇。大活躍だった女子レスリングに重点配分されたことでも知られている。

今回のトリノ五輪は単に選手の質が低かっただけなのか。 それとも冬季種目は後回しにされていたのか。JOCの敗因分析を早く見てみたい。

 

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2006年2月26日 (日)

安藤美姫の得たもの

25日の早朝に行われたフィギュアスケートエキシビションをようやく見ることができた。

荒川静香選手はオリンピックチャンピオンとしての風格すら漂わせ、 会場の雰囲気を完全に支配していた。それにしても本当にリンク映えする女性だと思う。

驚愕させられたのはロシアのプルシェンコ選手。 バイオリンの生演奏に合わせての即興のスケーティングである。当然練習はしているのだろうがリズム、曲調に完璧にシンクロしていた。 ここまでくると単なる技術や表現力どうこうという次元ではない。スケート以外の素養も相当に高いものがあるのだろう。 とんでもないものを見せてもらった。

華やかなショーを見ながら気になったことがあった。 この2日間完全にメディアから消えている安藤美姫選手だ。

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2006年2月24日 (金)

これが人生 ~スルツカヤとウィルモッツ~

日本時間のけさ5時過ぎから始まった女子フィギュア・シングルのフリー。
周知の通り日本の荒川静香さんがオリンピックチャンピオンとなった。

2006022400000016maipspoview000 SPでトップだったサーシャ・ コーエン選手が尻もちをつくミス。思ったほど得点が伸びなかったことで、 直後の滑走だった荒川選手に心理的な余裕が生まれたことは間違いあるまい。
トリプル+トリプルのコンビネーションをトリプル+ダブルにした。ジャンプの途中に瞬時の判断でプログラムを変える。
きのうのエントリでも書いたがその集中力たるや… 。 メダルへの期待で浮つく周囲をしり目に当の本人が一番冷静だったのだ。
終盤の見せ場、イナバウアーからの連続ジャンプを決めると会場の雰囲気が一変した。 SPよりもさらにスケールアップしたような演技で見るものを圧倒。完ぺきな勝利だったと思う。

最終滑走のイリーナ・ スルツカヤ選手は緊張が抜け切らなかったのか、 SPのときのような切れが感じられなかった。何か演技を〝こなしている〟ような雰囲気。 本人にしか分からないような小さなミスが続いたためかどんどん余裕がなくなっているように見えた。 それが致命傷となったあの転倒につながったのかもしれない。

「普段のわたしには何でもないジャンプ。でもそれがスケート、それが人生なの」

0602bergi1_1 彼女の言葉を聞いた時、 ふと2002年W杯決勝トーナメント1回戦、ブラジル対ベルギー戦後のベルギー代表主将M.ウィルモッツのコメントを思い出した。
わたしは神戸で行われたこの試合を生で見ていた。前半ブラジルDFと競り合いながらヘディングシュートを決めたウィルモッツ。 本当にスペクタクルなゴールだった。しかしプッシングを取られ得点は取り消される。後半地力に優るブラジルが2点を奪って逃げ切ったが、 仮にベルギーの先制点が認められていればどう転んだか分からなかった。

実は試合後レフェリーがウィルモッツの元に歩み寄り、自らファウルの判定を誤審と認めたという。 それを受けたウィルモッツの言葉だ。

これが人生、これがフットボールだ。わたしは審判をいつも尊敬している。 だから彼の悪口を言うつもりはない

この試合を最後に代表を引退したウィルモッツをわたしは今でも尊敬してやまない。

そしてスルツカヤ選手。あらゆるタイトルを手にしながら結局オリンピックでは銀と銅に終わった。 キス&クライで得点を見た瞬間こそ両手でで顔を覆うシーンがあったが、後の会見ではブロンズメダルを手にしながら彼女は笑顔を浮かべて 「様々な色のメダルを取れて良かった」と語ったという。

女王の矜持…。わたしはスルツカヤ選手がますます好きになった。

    

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2006年2月23日 (木)

悲劇の女王 ~戴冠のとき~

あと何時間かでフィギュアスケート女子のフリープログラムが始まる。

けさのスポーツ紙の1面を飾ったのは荒川静香さん。SPを終わって小差3位と好発進だ。 以前のエントリでも書いたが事前に唯一メダルの可能性があると言われていたのがこの競技。 当然プレッシャーもあっただろうに。しかも直前に肩の脱臼、スケート靴が合わないという致命的なアクシデントに見舞われながら、 自己ベストを叩き出したその集中力にはとにかく脱帽するしかない。

ジャンプで手を着いてしまった安藤美姫さん。 ワダエミがデザインしたという衣装についてアナウンサーが「良さを消している」などと言っていたように記憶しているが、 愛くるしい表情とは裏腹の安藤選手のコケティッシュな魅力を引き出していたのではないか。個人的にワダエミデザインといえば「HERO」 の真っ赤(オレンジ?)な衣装だがまさか「戦メリ」に赤というわけにもいくまい。

村主章枝さんもノーミスの演技で4位につけた。衣装と音楽がうまくシンクロしていたし、 彼女らしいオーバーアクト気味の表情も相まって観客を自らの領域に引きずり込むことができていたように思う。 世界的に評価が高いという村主選手の表現力を存分に発揮していたたのではないか。

L_cohen_fs01cs_1 ただ昨年暮れから見始めた素人の目には上位2人に一日の長があったように感じられた。 信じられない柔軟性を武器に人間業とは思えない高難度のスパイラル、スピンを次々と繰り出したサーシャ・コーエン選手。 いかにもアメリカ娘らしい勝ち気な表情、しぐさも観客やオフィシャルに好印象を与えていたように思う。 Skater_p_slutskaya_1

そしてわたしがもっとも好きなロシアのイリーナ・ スルツカヤ選手はとにかくエレガント。もろに贔屓目だろうが、 はっきり言ってひとつひとつの技の完成度が高く、流れの中にうまく組み込まれたジャンプもほぼパーフェクトだった。 あまりにソツなくこなし過ぎたのかもしれないが、それだけに演技終了後キス&クライで彼女が一瞬見せた不満そうな表情もさもありなんだった。

ソルトレークで銀メダル。重病に倒れた母親の看病、自らも病魔と闘いながらリンクと運命を共にすることを決断したスルツカヤ選手。 う~ん、是非ゴールドメダルを取って欲しい。

荒川選手と同点で…なんてわけにはいかないだろうな。

   

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2006年2月22日 (水)

ネタ大国

V4010008昨日のエントリでも書いたがseoulはコピー天国である。
同時にいろんなネタの宝庫でもあるのだ。

例えば栄養ドリンク。風俗大国でもある韓国ではいわゆる「コト」が終わったあとにこれが出てくる。わたしが連れて行かれたお店では終了後にこれが出てきた。あのドーピングで有名な〝馬軍團〟である。いかにも利きそうだ。勧められるままに一気に飲み干したが正直リポDとの違いは分からなかった。ロッテのキシリトールガムがタンクに大量に入ったものが100円そこそこで市場で売られていたりもした。

V4010015b 2日目の夜10時過ぎのこと。そろそろ空港行きの迎えのバスが来る時間だ。わたしは24時間営業の東大門市場でお土産購入を済ませ、ちょうどホテルに戻ったところ。ふとそこに黒タクシー(日本語通訳可能なやや高めのタクシー)に乗った韓国人の男性が現れた。「オニサン。この近くで遊んでいかない?」と言う。昨夜のこともあり正直心惹かれたが、普通に時間が間に合わないので断る。そこでそのポン引きが「ネクストタイム、楽しんでネ」と言って渡してきたのがこの名刺だった。

言われてみればその男は確かに我が愛する阪神タイガースのアニキこと、金本選手にソックリだった。カスタマーの立場にたって話せる、できたガイド、そしてポン引きである。わたしたちは固い握手を交わす。未来の再会を約束してその場は別れた。

帰りのバスの中で含み笑いしながらふと気付いた。わたしは初めて訪れたこの国のことをすっかり気に入ってしまっていたのだ。料理、映画を含めた文化、そして美しい女性たち。きっと近々また訪れるはず。そのときには真っ先にアニキに連絡を取っているはずだ。

     

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2006年2月21日 (火)

フェイクギャラリー

知的所有権の保護に関して甘いと指弾される東アジア地域。
今回韓国に行って驚いたのは観光名所となっているナムデム市場で堂々とパチもんが売られていたことだった。

あるカバン屋で3階に連れて行かれた。そこはブランド品の山。わざわざルイ・ヴィトンのカタログまで用意してあって比べてみろという。素人目だがたしかに違いは見出せない。一緒だった友人によれば日本の10分の1以下の値段だそうだ。

その店員いわく「これすごいよ。完ぺきなニセモノ」

その逆説的な言葉に皮肉めいたものを感じながら店を出て市場を歩く。〝オニーサン、オニサン〟の雨あられを受けつつふと考えた。
見かけや品質に差がないとしたら「本物」を買うことの意味って何なんだろう。消費しうる存在、階層であるという自己満足なのだろうか。結局は個人の気持ちの問題ってことか。

ちなみにわたしはブランド物を身につけることはほとんどない。別にええかっこしいなわけではない。気恥ずかしいのだ。そう見られることはないはずなのに〝なんかムリしてねえかコイツ〟と思われてしまうのではと気になってしまう。それならユニクロとかゼンモールあたりでコーディネイトしたほうが安心できる。貧乏性と言われればそれまでなのだが。

V4010012_1 甘いものが食べたくなって市場の一角にあった駄菓子屋さんへ入り1個30円のチョコレートを買った。ふとパッケージを見ると〝LOTTO Ghaya〟と書いてある。LOTTE Ghana をもじったのだろう。以前バンコクでCHANELならぬCHANNELと書かれたTシャツを見たこともあったが、ここはロッテお膝元である。これには思わず笑ってしまった。

  

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2006年2月20日 (月)

イヴになったアダム

先週末Seoulに丸2日滞在した。休暇を利用しての完全な旅行である。
韓国映画は普段からたくさん見るし、月に2~3回は家の近くの料理屋へ行く。
でも実際に訪れるのは初めてだ。

深夜便のため実際行動を開始したのは正午過ぎになった。初日はソウル在住の友人の案内で市場などの一般的な観光スポット巡り。ホテルで一休みし、夜は弘大(ホンデ)という地域にあるクラブに行き、年も考えずに4時くらいまで遊んでいた。

2日目の昼過ぎのこと。夜遊びの疲れで寝ぼけ眼のままミョンドンの街をブラついていたら、角にあったレコードショップの店員に話し掛けられる。前夜のノリでいいダンスミュージックはないかと聞いたところ薦められたのがHARISUだった。Harisu5_1

その美ぼうに加えセクシーなダンスと確かな歌唱力で大人気らしい。でも店員のパクさんの話で一番驚かされたのはこのアーティストが性転換手術を受けたニューハーフであるということだった。

日本に比べても性差別が激しい(と思われる)韓国で、良くトランスジェンダーであることをカミングアウトしたなと思っていたらこんなインタビュー記事を見つけた。

I don't think I am a   `transgender.' That's the name this society gave to me. They call me a trans,   neither man nor woman. I don't think this label of trans will be removed from   me ever, successful as I may be. But I don't care, because I already made it   public for myself.

素晴らしい勇気の持ち主である。いかに好奇の目にさらされようとすべてをオープンにする道を選び、そして自らの実力でトップスターの地位を勝ち取ったのだから。今ではその地位を利用して同じ境遇にある人々のため活動も行っているようだ。

このインタビューでも少しふれているが、HARISUは韓国でのデビュー前に日本でヘアメークの勉強をしており、日本のクラブで歌い手としてのキャリアを始めている。アーティストとしての彼女のルーツは日本にあったのだ。東京のカラオケで練習でもしていたかと思うとわたしはうれしくなってしまった。

そのうち日本でライブなどをすることもあるかもしれない。そのときはぜひ駆け付けたいと思った。

  

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2006年2月17日 (金)

SNSに思う

友人から巷で話題のmixiに招待していただいた。先ほど登録を完了したので早速いろいろ覗いてみる。

まず何より驚いたのはその規模の大きさだ。ミクシィがオープンしたのは04年2月。わずか2年で260万人の会員を集めるに至っている。開設から9か月後、04年11月25日付けBroadBandWatchの記事では当時の会員数は18万人。この1年かそこらでいかに急激に膨張したかがわかる。最近では時間帯によってはトラフィックが増大し過ぎて、重くなることもしばしばとか。全方位オープンなウェブ上においてあえてクローズドなコミュニティー…。良くできたシステムだと思うし、人気が出るのも納得だ。

前出の記事によれば男女比は6:4。今もこの割合が変わらないとすれば20台後半を中心に100万人を超える女性が登録していることになる。そんじょそこらの百貨店の会員数を大きく上回る巨大なマス集団がいて、しかも細かに設定されたプロフィルにより各人の趣味嗜好は細分化される。収入面を知るすべはないものの、これほど効率のいい広告媒体もあるまい。

パソコンテレビGyaoの視聴登録者は700万人を突破、今年度中には1000万人を超えるとも言われている。1000万…。メディア界大変革の胎動はとっくに始まっているようだ。

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2006年2月16日 (木)

日本勢の不調は必然?

トリノ五輪における日本勢が絶不調である。
各競技で敗戦続き。今井メロ選手の負傷が演技だった?こととが話題になるほどいいニュースがないのだ。
ただ海外のメディアによる
事前予想ではこの大苦戦はある程度予想されていたようだ。

米国の専門誌「スポーツ・ イラストレーテッド」の全種目メダル予想で、日本選手はフィギュアスケート女子の荒川静香(プリンスホテル) とスピードスケート男子500メートルの加藤条治(日本電産サンキョー)の「銅2」だけ。AP通信はさらに厳しく、荒川の銅1個だけだ。 (中略)それ以外の競技では日本選手を推す声はあまりない。(中略) 関係者の間でHP男子の国母和宏(北海道・登別大谷高)の名前が上がるくらいだ。

周知の通り世界記録保持者の加藤選手、スノーボードの国母選手はメダルには届かなかった。 残る有力候補はフィギュアの荒川選手だけ?何としても頑張って欲しい。

それにしても日本の予算はスポーツ、文化に対してカネをかけなさ過ぎるのではないか。 JOCの強化資金のシステムについては正直良く分からないが、少し予算を振り向けるだけで結果はだいぶ違ってくると思うのだけれど。

映画においては製作にカネを還流させるシステムが整えられ、 フィルミコミッションを設ける自治体も増えてきた。製作現場には追い風が吹き、今の日本映画は空前の製作ラッシュとなっている。
あとは〝出口としての〟スクリーン増加に努めてほしい。公開待ちの作品が多過ぎる現状を何とかできればと思う。

テクノラティプロフィール  

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2006年2月15日 (水)

愛郷心空振り

いささか忙しくてオリンピックを見る機会が少ないが、 きょうは仕事をしながら横目でカーリングの中継(日本‐ロシア)をチラチラ見ていた。

ソルトレーク五輪出場を目指したカーリングの選手たちを描いた 「シムソンズ」という映画が今週末封切られる。 加藤ローサがブログを書いているという理由でココログを選んだわたしとしても、まさに要チェキ(恥)な作品だ。少し予習でもと思ったが… 。音を絞っていたせいもあるんだろうけど、これが良く分からないのだ。

そこで家に帰って早速JOCサイトをチェックする。 得点の計算方法はわかったんだけど、4人1チーム?4人目はどこにいたんだろ、 とか電光掲示板の残り時間表示みたいなのがどう関係してくるのかとかがまだ不明である。 それより驚いたのが日本代表の女子選手がみんな青森県の団体、大学に所属しているということだった。

わたしの出身地でもあり気が気でない。それで今度は(社) 日本カーリング協会へジャンプ。どうやら地域ごと(といっても3地域だけ?) にチームをつくり、強化指定→トレーニングという構図らしい。 それで昨年の11月の選考会でチーム青森がチーム長野を下してオリンピックでの切符を手にしたというわけだ。

青森から世界へ?やるじゃねえか。 ほんのちょっとパトリオティックな気持ちになって自尊心をくすぐられたのだが、選考会のチームプロフィルを見てほんのちょっとガッカリ。 選手たちはみんな北海道の方でした。

    

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2006年2月14日 (火)

スピルバーグ初?の色モノ

79m_2 トリノ五輪に合わせたわけでもあるまいがスピルバーグ監督の最新作「ミュンヘン」が公開中だ。ネタばれ無しの予告編を見て以来気になっていたが、何をおいてもということで強引に時間を作り鑑賞してきた。

非常に良くできた映画、というのが見終わっての最初の感想。実写の補完役に徹したCG(イェルサレム、ラストのNYCの描写は秀逸)、3時間弱の長尺と感じさせない編集(キングコングのeditorよ見習え)は見事。そして何より感心させられたのは主演のエリック・バナはもちろん、主だった出演俳優みんながみんな“オイシい”役を演じているように見えたことだ。

たいていの映画というのはいわば捨てキャラのような存在がいてご都合主義的に葬り去られ、これがスクリーンから緊張感を奪い去ってしまう。ところがミュンヘンはどうだ。説明ゼリフを極力廃し、個々のキャラクターを際立たせることに成功した脚本(アテネのsafe house でのパレスチナ過激派とのやりとりは爆笑)。そのスクリプトと俳優の演技を高次元で昇華させた演出はさすがで隅々にまで気を配っていてスキがない。超一流のスタッフの支えあってとはいえ巨匠の面目躍如といったところか。

まあスピルバーグが「ミュンヘン」を通じて何を訴えたかったとかいうことをくどくど書くこともあるまい。そういう大仰な解説は筑紫哲也あたりにやってもらおう。内容は一言でいうならド直球な反戦映画、「ハイそこのキミ!報復の連鎖は何も生みませんよ」ということである(とわたしは思う)。

(しつこいが)キングコングのようなやたらカネかけてまっせ的なごてごての虚飾アクションだったり、冗長なだけの歴史映画なんかが横行している最近のハリウッド映画にはない、素直にスクリーンに没入できる作品だった。オープニングがどの程度だったかわからないが毎度のこととはいえ興行と中身を両立させる手腕はさすがである。

ただ一箇所だけ現実に引き戻されたのがラスト近くのアヴナーと妻とのベッドシーン。シャンプーのCMじゃあるまいしあの汗はないだろう。あれじゃ即脱水症状だよ。官能シーンを撮り慣れていないからなのか、オブセッシブな状態を表現するにしてもちと違う気がしたのだった。

   

 

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2006年2月13日 (月)

オリンピック=4年に一度の世界選手権

さてオリンピックである。 正直気付かないうちに始まっていたという印象だ。
過去のどの大会よりも扱いが小さく感じるのは気のせい?と勝手に思っていたが地上波における総放送時間はこれまでの冬季大会では最長だとか。

問題は事前の媒体露出があまりに少なかったこと。 それもそのはずで昨年2月の段階で予算不足が指摘される始末。開幕の1年前ですよ。 これは政府支出で穴埋めしたのだけれど、 今度は警備予算が1億ユーロ近く計上されてしまったためPRのほうにまで手が回らなかったというのが実情らしい。 イタリアらしいといえばらしいのかな。

日本人が米国代表?

それはそうと今回わたしが気になっていたのは選手の国籍変更問題だ。 フィギュアスケートペアの井上怜奈選手は米国籍を取得、 全米選手権で優勝し米国代表としてオリンピックに参加している。

できれば日本国籍で(リレハンメルオリンピック以来となる) トリノオリンピックに参加したかったんですが、日本はペアのレベルが低く選手層が薄い (というより日本のフィギュアスケート選手は誰もペアをやらない)ため、 オリンピック出場の夢を叶えるためにアメリカ人になる決心をしました。(中略) アメリカ代表としてトリノに行きたいと思っています

井上の選択自体は合理的なものだと思うし、がんを克服しての出場も快挙だろう。 ただ一方で客観的にみると釈然としない気持ちになる。フィギュアではアイスダンスのカナダ人女性タニス・ ベルビンも同じく米国籍を取得し土壇場で五輪出場を果たしているが、わたしがググった範囲ではベルビンはオリンピック初出場。 ところが井上はすでに92年アルベールビル、94年リレハンメルに日本代表として出場しているのだ。

サッカーなんかでは、大昔は違ったけれど、一度ナショナルチームに選ばれキャップ数がつくと (選ばれるだけならOK?)国籍を変更してもその国の代表選手になることはできない。でもアマチュアリズムの祭典である(べき) オリンピックでは「優秀な選手が出場するチャンスを広げるため」という理由で認められてしまうなんて・・・  盛り上がればいいってもんでもあるまい。なんか甲子園に出るための高校生の越境入学みたいだ。

2年先、4年先を考える。移民の国アメリカ同様、日本でもこうしたことが当たり前になるのかも。 卓球中国代表・福原愛選手とか?  それでもオリンピックといえるのかなあ。

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2006年2月11日 (土)

府中競馬場とバレンタインデー

いつもなら日比谷公園あたりで挙動不審というのが休日の過ごし方。
ただ今週は珍しく土曜が休みだったのと、競馬記者をやっている友人の招きもあり久しぶりに府中入りした。
東京競馬場は一昨年のダービー以来である。めちゃ込みとわかっていてあえてダービー当日足を踏み入れたのはある馬が走るのを見届けたかったから。その年の弥生賞で初めてコスモバルクを見て、ゴール板を過ぎて我慢仕切れないようにスタンドにガッツポースをした五十嵐冬樹騎手を見て柄にもなく胸が熱くなってしまったのだ。

すでに様々なメディアで語り尽くされている話題だし、また聞きかじりのため大した論評はできないが中央所属馬ではないバルクの活躍は何を意味するのか少し考えてみた。
ラフィアンターフマンクラブ岡田代表のコメントを見ると、代表は中央競馬に改革を促す尖兵役としてバルクを地方所属のまま中央のレースに出走させているようだ。

現行の内厩制度では市場原理(競争原理)が働かず、全てのコストに対して経営努力がなされないのが要因です。(中略)まずお互いが競い合い、努力せざるを得ないシステムにすることが、大切だと考えます。資 本主義社会、グローバルスタンダードにおいては、至極当たり前のことなのですが、この業界だけが大きく取り残されているように見えます。

伝え聞くところでは中央競馬で厩舎に馬を預ける際の預託料は一頭当たり月50万以上。今は厩舎によって多少ばらつきはあるようだがそれにしても高額だ。これでは競走馬の購入代金よりその維持費のほうがはるかに大きくなってしまう。
何とも割りに合わない投資だなあと思っていたら、やはり最近は個人馬主の撤退が相次いでいるという。それで買い手のつかず値段の下がった馬を、それこそラフィアンあたりが二束三文で大量に買い入れ中央競馬で走らせているわけで…。なるほど最近のマイネルが昔に比べて走るイメージなのはその辺に起因してるのかもしれない。

そんなことを考えつつ新スタンド3階のコンビニでサンドイッチを買ったところ「本日チョコを配っております」とバイト嬢。男がソワソワする季節に何とも心にくいサービスだ。その勢いでメーンのバレンタインSへ突撃。スパインで勝負をかけたが…。

甘かないな~。

  

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2006年2月10日 (金)

Can Amazon Catch Apple?

図書館で今週のニューズウィークをめくってたら「アップルを狙うアマゾンの逆襲」との短いレポートがあった。
ググってみたらこういう話はだいぶ前からあったようで(当たり前か)そのビジネスモデルが明らかになり始めたということらしい。

アマゾンで映画のDVDを買うとその映画をネット経由で見られるようになるという。(中略)CDをアマゾンで買うと、その音楽データをダウンロードできるようになり簡単に携帯音楽プレーヤーで聴けるようになる見込みだ。

へえと思った。わたしは仕事柄出張が多く、出先で映画や音楽を楽しむためポータブルDVDプレイヤーとポータブルCDプレーヤー、DVD、それにCDを常に持ち歩いている(ソフトは100円ショップで売っている10枚くらい入るケースに入れる)。でもこのサービスが現実になればバッグにだいぶスペースが生まれそうだ。ある程度高速のという条件はつくがネット接続環境さえあれば自宅のライブラリから好きな映画、音楽をオンデマンドで見たり聴いたりできるようになるのだから。

試し読みもできるアマゾンのことだ。当然そのうち電子書籍の配信なんかも始まるだろう。ということはネット環境さえあれば世界中どこにいても自宅の本棚やCD,DVDケースが端末の画面を通じて目の前に現れるという、それこそ映画みたいな状況が生まれることになる(アマゾンに自分ちのライブラリを覗き見されてる気分にもなるけれど)。

ニューズウィークの記事でもふれていたが、課題はやはり汎用性のある端末開発ということになるのだろう。その開発を請け負うのはどこの企業になるのだろうか。全世界5500万のアマゾンの顧客のうち何割がこのサービスを使うのか分からないが、巨大なビジネスになるのは間違いなさそう。「機械仕掛けのトルコ人」もそうだけどおもしろいことを考えるよなあ。

どうせならこれまでアマゾン経由で買ったコンテンツすべてをこのサービスの対象にできないものか。そうすれば一気に広まると思うんだけど。

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2006年2月 9日 (木)

アフガンからの悲痛な叫び

B0006a9jlu09_ou09_pe0_scmzzzzzzz__3 いつもは街を散歩したりするのだが、余りに寒いので今日の昼間はDVR
を整理。録りだめしといた映画の中から「アフガン零年 」を見てみた。

舞台はタリバーン支配下のアフガニスタン。男根主義のもとで女性が極端に差別され抑圧されていた時代。戦争で男の働き手を失った祖母、母、娘の3人家族は極貧にあえいでいる。祖母の発案で少女=マリナは髪を切り男装して労働へ。しかし宗教学校で見抜かれてしまい、最後は裁判の末に老人と強制的に結婚させられてしまう。

とにかく最後まで救いがない。虹をくぐるという希望に満ちた元々のラストシーンはカット。結婚祝いにジジイに錠前を贈られ、第一(?)婦人には「人生を踏みにじられもう疲れ果てた。でもどうすることもできない」と告げられる。そしてマリナが永遠に自由になれない未来を暗示して映画は唐突に終わる。監督によればアフガンの現状、未来を象徴的に描くためなのだそうだ…。

ところでこの映画はNHKエンタープライズが製作に参加しており、撮影の様子を描いたドキュメンタリーも同時につくられていた。

2~3か月前だったか深夜にザッピングをしていたらそのドキュメンタリーがたまたま放映されていた。おそらくもう終わりに近いあたり。少女が出演料(家族全員が半年暮らせる額らしい)を受け取っている場面だった。少女は涙が止まらない。バルマク監督以下スタッフとの別れが辛かったのだろう。それを見ていたたまれない気持ちになったのをふと思い出した。

公式を見ると現在彼女は学校で読み書きの勉強をしながら女優を目指して暮らしているとある。あまり暖房効果のない部屋で、陰鬱な気分も手伝って寒さは増すばかり。ガタガタ震えながら少女に幸あれと願わずにはいられなかった。

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2006年2月 8日 (水)

はじめに、マジメに

さてブログというものを始めることにした。

日本でもウェブを使った読者参加型の紙面作りが始まっているし、お隣の韓国あたりになるとメインストリームのメディアでは各記者が個人のブログを持つことを義務付けているともいう。これといって目的があるわけではない。情報発信というとおこがましいけれどメディア業界に片足、片腕、その他を突っ込んでいるものとしてその日の出来事、日々の雑感などを日記代わりに書いてみようと思った。

あまりキャラではないがマジメに続けていければと思う。

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